初期費用無料の家庭用蓄電池は本当に0円?仕組みや導入する際の注意点を解説
近年、災害時の備えや省エネのために自宅に太陽光発電設備や蓄電池を設置する家庭が増えてきています。ただ、これらの設備は高額で導入時に100万~300万の初期費用がかかるのがネックです。しかし、この初期費用を0円で設備を導入する方法があります。ここでは蓄電池を初期費用0円で導入する方法と仕組み、注意点についてご紹介します。
初期費用無料の蓄電池は本当に0円?
蓄電池を無料で設置するためには、東京電力グループのTEPCOホームテック株式会社が提供している「エネカリ」というサービスを利用する方法があります。エネカリを使うと、太陽光発電やオール電化、蓄電器といった省エネ機器を初期費用無料で自宅に設置できます。TEPCOホームテック株式会社は東京電力グループの会社ですが、エネカリで利用する電力会社は限定されておらず、全国どこでも利用できます。
ただし、エネカリで無料になるのは初期費用のみです。サービス開始後、契約期間中は毎月一定額を支払う必要があります。「蓄電池が無料で手に入る」というわけではないので気を付けてください。
初期費用無料の仕組みとは
初期費用を無料にできる仕組みは簡単にいうとローンやリースと同じです。車や携帯電話を買う際、ローンを組むことで高額の出費を抑えることができます。エネカリも基本的にはローンとよく似た仕組みで、機器代や工事費など本来最初にかかる費用をすべて分割支払いにすることで初期費用を0円にしています。
厳密にはローンではなく「エネカリ」の名前の通り、省エネ機器をレンタルするようなイメージです。契約期間終了後は無料で機器を譲り受けることもできますし、機器を最新のモデルに交換したうえで再契約することも可能です。太陽光パネルなどは時間が経つにつれ経年劣化で発電効率も落ちていきますし、毎年新しいモデルが発売されています。エネカリを利用して最新機種を使うというのも選択肢のひとつとして検討してもいいのではないでしょうか。
エネカリのサービスは家庭用蓄電池やV2H機器の他、太陽光発電システムやエコキュート、ITクッキングヒーターといったオール電化設備が対象となっています。機種も幅広いラインナップから選ぶことができます。エネカリを利用すると設置した機器と設置工事について契約期間に準じて10年間~15年間の保証を受けることができます。
また火災や風水害、盗難、事故といった災害も補償されます。エネカリとの契約期間は故障時の修理費用が一切かからないのは嬉しいポイントです。TEPCOホームテックのコールセンターは24時間365日利用できるので、故障など困ったときにはいつでもサポートに相談できます。エネカリの現地調査や見積り、発電シミュレーション作成は無料で依頼できるので気になる方は一度問い合わせてみるといいでしょう。
初期費用無料の家庭用蓄電池を導入する際の注意点
エネカリを使えば初期費用は無料になりますが、機器代金や工事費用が安くなるわけではありません。むしろ分割で支払いをする分、一括支払いよりも支払い総額は多くなることは覚えておきましょう。また、エネカリは契約期間に応じて保証を受けることができますが、蓄電池や太陽光パネルにはもともとメーカー保証があります。
たとえばメーカー保証が15年の機器をエネカリの10年契約で購入すると、保証期間はエネカリの契約期間に準ずるため本来15年の保証が5年少ない10年の保証になってしまいます。導入する機器によってはエネカリを使うことで保証期間が短くなってしまうケースもある点にも注意が必要です。
もう一点、エネカリでは原則サービス期間中の途中解約ができません。もし契約途中で解約する場合、残った契約期間分の利用料金を一括で支払わなくてはならないので利用は慎重に決めてください。また、エネカリの利用料金には工事代金も含まれているため実際の工事代金がいくらだったかなど、工事の詳細がわかりにくくなっています。省エネ設備の導入に際して、工事の品質は重要なチェックポイントです。
事前に自社施工なのか外部に委託するのかなども確認しておくことをおすすめします。一般的に自社施工の会社の方が、コミュニケーションが取りやすくクオリティも安定しています。蓄電池の販売店にはローン支払いに対応している会社もあるので、エネカリを利用しなくても初期費用を抑えることはできます。エネカリのメリット・デメリットをきちんと把握したうえで、価格だけでなく保証やアフターフォロー体制についても他社と比較検討して利用するかどうか決めるといいでしょう。
エネカリを利用すれば初期費用0円で蓄電池を設置できますし、エネカリとの契約期間中はしっかりとした保証やサービスを受けることができます。一方で一括支払いと比べると総支払い金額は割高になりますし、工事の詳細がわかりにくいといった注意点もあります。ローンを利用することのできる蓄電池や太陽光パネルの販売業者もあるので、価格とサービスの両面で比較したうえで自分にあったプランを決めてください。