蓄電池は定期点検が必要!法律で義務づけられている点検内容とは
太陽光発電などで発生した電気を貯めておける蓄電池。地震などの災害で停電が起こった際にも活用できます。ただ、蓄電池を安全に利用するためには定期点検やメンテナンスが必須です。ここでは、蓄電池の定期点検義務や定期点検を怠った場合のリスク、蓄電池を安全に長く使うためのポイントについて説明します。
蓄電池は定期点検が義務づけられている
蓄電池は、電気事業法・消防法・建築基準法により、定期点検が義務づけられています。
電気事業法では600ボルトを超える電圧を受電する蓄電池を対象に、保安規程に定められた期間は関係者が日常点検や定期点検を行わなければなりません。
消防法では消防用設備の非常電源を対象として、機器点検は半年、総合点検は1年のスパンで、消防設備点検資格者か蓄電池設備整備資格者による点検が義務づけられています。
建築基準法では特定行政庁が指定する蓄電池を対象として、約半年~1年のスパンで建築士・建築基準適合判定資格者・建築設備検査資格者が点検を行わなければなりません。
2週間~1か月ごとに行う点検内容としては、目視による外観の点検やメーター類の異常の有無などがあります。バッテリーの膨張などは重大な事故につながりかねません。約半年ごとに蓄電池内部の部品のチェックや電圧の確認などを行います。
さらに1年点検では、蓄電池に関するより細かい測定やデータの取得が必要とされています。1年のどのタイミングで点検を行うか、毎年事前に決めておくとよいでしょう。
蓄電池の定期点検を怠るとどうなる?
使用環境・室温・湿度・充電電圧の管理などに影響されますが、蓄電池の寿命は一般的に15~20年といわれています。蓄電池の定期点検を怠った場合、どのようなことが起こるのでしょうか。
緊急時に蓄電池が作動しない
蓄電池の故障や不具合により、緊急時に「非常用の照明が点灯しない」「発電機が動かせない」など、蓄電池本来の性能が発揮できない可能性があります。とくに普段あまり蓄電池を使用していない家庭では、いざ必要となった時に蓄電池が動かないという事態が起こりやすいです。緊急時に困ることがないようにしましょう。
発熱の恐れ
過大電流が流れていたり、締めづけ不良があったり、接触不良だったりすることが原因で、端子・接続線・ナットなどが発熱することがあります。放置してしまうと、蓄電池の破損や機能停止につながってしまうので、早めに対処することが大切です。適切に定期点検を行ったうえで、ナット・ボルトはきっちり締める、接続板・接続線の電流容量不足に対処するなどのメンテナンスが求められます。
発火の恐れ
経年劣化により蓄電池内の電解液が漏れてしまうと、ろう電が発生し、火災につながる恐れがあります。木造住宅の場合は、大規模な火災に発展してしまうこともあるので、とくに気をづける必要があります。
蓄電池を安全に長く使うためのポイント
蓄電池は適切な定期点検を行うことで、ある程度故障や不具合の発生を防ぐことが可能です。さらに安全に長く使うために、押さえておくべきポイントについて説明します。
換気のよい場所への設置
火災予防条例では、蓄電池を設置する際には屋外に通じる有効な換気設備を設けることが必要です。そうすることで、水素ガスの異常発生が原因の発火を防止することが可能です。
気温の変化が大きい場所に設置しない
蓄電池は気温の変化が大きい場所に設置すると、バッテリーが劣化し、寿命が短くなってしまうことがあります。たとえば、昼と夜の気温差が大きい地域では、屋外でなく室内に設置するとよいでしょう。
住宅から約3メートル離す
蓄電池は正しく使用したとしても、長時間たつと高温になってしまうことがあります。発火すると危険なので、基本的に住宅から約3メートル離れた場所へ設置するよう、消防法に規定されています。
安定した場所に設置する
蓄電池を不安定な場所に設置すると、台風や地震などの非常時に倒れて故障してしまう可能性があります。もし安定したスペースがない場合は、コンクリート基礎を打って設置場所を作ることも考えておきましょう。
浸水しない場所に設置する
蓄電池が台風などの災害で浸水してしまった場合、発熱・発煙・発火してしまったり、蓄電池内部の回路がショートしてしまったりといったトラブルが起こるおそれがあります。できるだけ浸水を避けられる場所へ設置するようにしましょう。
充電をこまめに行う
リチウムイオン蓄電池は、バッテリーを使い切ってから充電するよりも、20~60パーセント程度まで減ったタイミングでこまめに充電する方が、負担が少なく長持ちする傾向にあります。また、長時間過充電や過放電の状態のまま放置しておくと、蓄電池がダメージを受けて寿命が短くなったり、使用できなくなったりすることがあるので注意しましょう。
まとめ
蓄電池の定期点検義務や定期点検を怠った場合のリスク、蓄電池を安全に長く使うためのポイントについて説明しました。法律で義務づけられている定期点検・メンテナンスをしっかりと行うとともに、ポイントを押さえた運用をすることで、蓄電池は安全に長く使うことが可能です。
蓄電池の導入を検討している人は、より効率的に使用するために蓄電池業者に相談してみるのもおすすめです。各家庭の環境に合わせた最適なプランを提案してもらえるほか、施工、アフターサービスまでお願いできることもあります。