家庭用蓄電池の容量はどれくらいがベスト?容量の選び方も紹介
家庭用蓄電池を導入する際、容量によって機種も価格も変わってきますが、どの容量を選ぶのがベストかわからないという人も多いのではないでしょうか。ここでは家庭用蓄電池の容量を選ぶポイントとベストな容量の選び方について解説します。
「出力」と「容量」の違い
蓄電池選びで重要になる指標に「出力」と「容量」があります。容量には「定格容量」と「実効容量」があり、定格容量は規定の条件のもと蓄えられる電気量、実効容量は実際に使うことのできる電気量を意味します。どちらも単位は「kWh(キロワットアワー)」で、メーカーによっては定格容量の記載しかない場合もありますが、その場合実際に使うことのできる実行容量は1kwh前後少なくなることを覚えておきましょう。
容量が多い蓄電池ほど電気を長く使うことができますが、価格も高くなります。蓄電池本体の価格と設置にかかる工事費用は蓄電池の販売・施工会社によって異なるので複数の会社から見積りをとって比較してみてください。
出力は蓄電池から取り出す時のパワーのことで単位は「kW(キロW)」もしくは「W(W)」になります。一度にどのくらいの電気を使うことができるのかを示す指標で、出力が大きいほど同時に使うことのできる機器が増えます。
一般的な家電製品の出力
自分が普段利用している家電の出力がどの程度なのか把握することで、自分にあった蓄電池の容量を把握しやすくなります。キッチン家電を出力の大きい順に紹介すると、IH調理器1,400~3000W、電子レンジ1,000~1,500W、食器洗い機1,100~1,300W、電気ケトル900~1,400W、40リットルの冷蔵庫190Wです。冷暖房機器はホットカーペットが800W、エアコンの冷房が750W、冷房が650W、こたつは300W程度です。
その他、洗濯機(8kg)が600W、テレビが150W、パソコンや照明は100W程度です。同じ家電でも製品によって消費電力が異なるので、正確な消費電力は商品カタログなどで確認してください。IH調理器や電子レンジ、エアコンなど消費電力の大きい家電を使う家庭の場合は容量、出力共に大きい蓄電池を選ぶ必要があります。
家電自体も省エネの商品を選んでおけば、停電時に必要な電力が少なく済むので蓄電池の容量を抑えることができますし、普段の電気代も安くなります。家電を買い替える際は省エネ性能も意識して、商品価格だけでなくトータルコストで考えることをおすすめします。
家庭用蓄電池の容量の選び方
ベストな蓄電池の容量は、どういった目的で蓄電池を設置するのかによって異なります。蓄電池導入の目的にはどのようなものがあるのかと、目的に応じた容量算出方法を紹介します。
■蓄電池を設置する目的を考える
蓄電池を設置する目的には大きく分けて「余剰電力の活用」「深夜電力の活用」「停電時の備え」の三つがあります。余剰電力の活用は太陽光発電で貯めた電力を売電した後、余った電力を貯めておく目的、深夜電力の活用は電気料金の安い深夜に貯めた電力を日中に利用する目的、停電時の備えは災害時停電した際に利用する目的になります。自分がどの目的で蓄電池を設置するのかで容量を考えます。
余剰電力を活用する場合は、太陽光でどの程度発電して、そのうちどの程度を売電し、どの程度自宅で使うのか割合を決めることで蓄電池に必要な容量を算出します。オール電化向けの電気料金プランでは深夜時間帯の料金単価が安く、電力会社によっては日中と比べて1kWhあたり20円近く安い場合もあります。安い深夜電力を活用する場合は日中に自分がどの程度電気を使用するのか、使用している家電製品の出力合計に使用時間をかけて算出できます。
■使用したい家電と時間を考える
深夜電力を日中に使う、あるいは停電時に蓄電池に貯めた電力を使用する場合、使いたい家電の出力合計に使用する時間をかけることで必要な容量を求めることができます。4人家族であれば1日の電気使用量は概ね18.5kwh、最低限の暮らしに必要な容量は7kwh程度といわれています。7kwhあればエアコンの冷房(650W)、テレビ(150W)、2部屋分の照明(100W×2)、40リットルの冷蔵庫(190W)、携帯電話充電2台(15W×2)を同時に5時間程度使える計算になります。
たとえば一晩近く停電が続いても、エアコンや照明で快適に過ごすことができ、テレビや携帯電話で情報収集をすることもできますし、冷蔵庫の中身が腐る心配もありません。
上記はあくまでも一例です。エアコンは消費電力が大きいので、停電時にエアコンがどうしても必要か考えてみてもいいでしょう。他の家電も必要、あるいはもっと長時間の停電にも備えたいなど、停電時にどういう過ごし方をしたいのか希望に合わせて必要な容量を算出してください。
蓄電池の容量は最終的には価格とのバランスをみて決定することになります。売電した残りの電力を貯めておくのか、深夜電力を活用したいのか、停電時の備えとしたいのか、自宅で使う際にはどんな家電を何時間使うのか、目的と電気使用量に合わせて最適な容量の蓄電池を選んでください。